Blue10のブログ

歯医者の豆知識を紹介します。

詰め物がすぐ取れてしまう歯医者は下手なのか?

初診の患者さんで今まで通っていた歯医者は詰めたものがすぐ取れて下手だから歯医者を変えたいという人がいます。

詰めたものがすぐ取れる歯医者は本当に下手なのでしょうか。

結論を言うとそうとは限らないと思います。

削ったり接着の操作が下手ですぐ取れてしまうことがないとは言えませんが、経験を積んだ歯科医師が何度も失敗するというのは考えにくいです。歯科医師という職業は基本的に歯を守るのが仕事であり取れなければなんでもいいと考えているわけではありません。詰め物を取れにくいようにするには歯を深く削ればいいし、差し歯を取れにくくするにはピンを太く長くすればいいです。しかし深く削れば神経が出てしまう可能性があるし、ピンを太く長くすれば差した根が割れる可能性が高くなります。つまり取れにくくするということは歯に負担をかけることになるということが多いです。

そのため取れやすいけど削らずに詰めなおす、取れたものを作り直さずに着け直す、というのは歯を守るにはいい方法だと思います。もちろん全てに当てはまるわけではなく取れるペースが早くなると来院頻度が増えてしまい通うのが大変になったり、取れるときに歯を割ってしまうこともあります。そのため患者さんと相談しながら歯を守るためにはどの方法が良いのか歯科医師が判断するのがいいと思っています。

取れる=下手、という考え方が広まると下手だと思われたくない歯科医師は取れないことだけを考えて削りまくるようになるかもしれません。それは患者さんの不利益になることは間違いありません。

歯科医師側も取れることがあってもそのことで歯が守られているということがあるということをしっかりと説明し、理解してもらえるように努めなければならないと思っています。