Blue10のブログ

歯医者の豆知識を紹介します。

TCHとはなにか?

最近テレビで咬み合わせについていの特集をやっているのを見ることがあります。このブログでも咬み合わせについての記事をいくつか書いています。この咬み合わせのことを歯科用語でTCH(Tooth Contacting Habit)いいます。日本語では歯列接触癖といいます。その名の通りTCHは上下の歯が接触しているだけで一般的な食いしばりのイメージとは違います。また無意識にしていることなので基本的に自分で気づくことはありません。気づかないまま長時間上下の歯を接触させていると歯は疲れてしまします。TCHは顎関節症、知覚過敏、歯の破折、詰め物の脱離、歯周病、咬合痛、肩こり、頭痛場合によってはめまいなどの症状が出ます。
治療の第一歩はまず自分がTCHだと気づくことです。ではどうすればよいのかというと、この記事を読んでいる今現在上下の歯が触っている人はTCHだと思ってください。また背筋を伸ばして椅子に座ったときに歯が接触している人、唇を閉じて30秒間上下の歯を離したときに違和感を感じる人、反対に30秒間上下の歯を接触させも違和感を感じない人はTCHの可能性が高いです。
ではどのようにすればTCHを治すことができるのでしょうか。多くの人が食事で固いものをやめればいいと思うのではないでしょうか。実は食事を注意しても全く効果がありません。食事は3食合わせても歯の接触時間は20分弱で咬む力もせいぜい10kg程度とそこまで強くありません。そのため食事の負担を減らしたとしても意味がないのです。
ではそれ以外の時間に無意識にやっている咬み合せはどのようにしたら治るのでしょうか。今一番有効とされている方法は自分の生活スペースのいたるところにポストイットに「歯を離せ」と書いて貼っておくというものです。この付箋を見たら立ち止まり鼻から大きく息を吸い込見ながら肩をあげます、そして口から「ハッ!」と声を出しながら一気に息を吐き出すのと同時に肩の力を抜きます。これをやるのは付箋一枚につき一回です。この方法を行うと2ヶ月でTCHは改善するそうです。ただ付箋を見るたびにやらなくてはいけないので結構面倒な方法だとは思います。忙しい人には難しい方法であると感じています・・・。
この方法はできないという人にはとにかく肩と首をよく回すように説明します。肩と首の筋肉が緩んでいるときは咬む筋肉も緩むからです。気づいたら首を回すという習慣を積み重ねることにより咬む習慣がなくなっていくのに期待しています。
では寝ているときの食いしばりはどうしたらよいのでしょうか。日中の咬み合せと寝ているときの食いしばりは相関関係があると言われているので寝ているときの食いしばりを減らす方法は日中の咬み合せをなくすことなのです。ただ簡単にやめることはできないので寝ているときはマウスピースの装着を勧めています。

現在むし歯や歯周病で歯が抜けることが減ってきているため、このTCHで歯が抜ける人が確実に増えています。今までにあまり言われてこなかったかみ合わせを注意することが虫歯、歯周病の予防と合わせて今後多くの人の歯を守ることになると思います。