Blue10のブログ

歯医者の豆知識を紹介します。

咬む力の強さはどのくらいある?

硬いおせんべいをバリバリと咬む力、あめ玉をがりがりと咬む力はどのくらいあるのでしょうか。
もちろん強い人、弱い人の個人差はありますが大まかに自分の体重と同じぐらいの力があると言われています。
体重40kgの人は咬む力も40kg、70kgの人は70kgということだそうです。では100kgある人は咬む力も100kgとなるのでしょうか。あくまでおおよその数値でありそこまでの咬む力は出ないと思います。逆に子供は体重に比べて大きな力で咬むことができます。3歳児に穴が開くほど指を咬まれた経験があります・・・。

握力で40kgというとそこそこの力で女性ではほとんどいないと思います。また70kgというと成人男性でも出すのは難しくプロスポーツ選手並と言えると思います。このような強い力を顎の筋肉はいとも簡単に出せてしまうのです。
因みに動物の中でのチャンピオンはワニだという記事を読んだことがあります。その力はなんと2000kgつまり2tもあるそうです。咬まれたら抜け出せそうもないですね・・・。一般的に口を開ける筋肉は咬む筋肉に比べて圧倒的に弱くチャンピオンのワニですらゴムバンドで口を縛ると開けなくなるそうです。

強い力の入る顎の筋肉なので、そんな力で食事をして大丈夫だろうかと思う人もいるかもしれませんが、大丈夫です。食事中は食べるものを見ながら体が自然に力を調節しており、入る力は10kg程度と言われています。また上下の歯が接触している時間も短く負担は少ないので安心して食事をしてください。
では注意しなければいけないのはどのようなときなのでしょうか。

・日中のかみ合わせ
日中無意識に上下の歯が合わさっている人は注意です。特にデスクワークや細かい仕事に集中したときに力が入りやすいです。強い力ではありませんが長時間力がかかる傾向があるので歯が疲れてしまします。
・睡眠中の食いしばり
睡眠中の歯ぎしりは最大の力で長時間に咬み続けることがあります。場合によっては覚醒時の最大の力を超えた力が入るとも言われています。この状態が続くとやはり歯はダメージを受けてしまいます。

このかみ合わせの傾向はどちらかだけではなくどちらも同時に出ると言われています。睡眠時の食いしばりがある人は日中も咬み合わせて生活していると言われています。
このかみ合わせについてはむし歯や歯周病と同様に歯が抜ける原因になっています。虫歯と歯周病の予防が良くなったので食いしばりによる歯の調子の悪さというのは明らかに増えてきています。また自覚がなくやっていることなので理解してもらうのが難しいものです。治療は咬み合わせない、ということだけなので歯医者は手助けをするだけで患者さん本人が自分で治すしかないのが現状です。無意識にやっていることを治すのは本当に難しいことだと思います。
この食いしばりはさまざまな症状を引き起こすことがわかっており、これが原因と思われる症状で受診される患者さんはとても多いです。この食いしばり関連の話は今後の記事でもちょくちょく出てくると思いますので覚えておいてください。