Blue10のブログ

歯医者の豆知識を紹介します。

サザエさんの食卓のシーンにはこだわりがある

今歯科界ではアニメサザエさんの磯野家の食卓が密かに注目されています。なぜ注目されているかは後で書きます。

最近の子供は顎が小さくなり歯並びが悪くなっている。と言われていますがこれは顎の骨格が小さくなったのではなく歯が植わっている歯槽骨という骨の発達が悪くなったためです。歯槽骨の発達が悪いと歯が並ぶスペースが狭くなり歯が重なって生えたり、八重歯になったりします。そうなると磨くのが難しくなりむし歯や歯周病のリスクが高くなります。またかみ合わせの悪さから体全体の不調に繋がることもあります。

ではなぜ歯槽骨の発達が悪く歯並びの悪い子供が増えたのでしょうか。答えを先に言うと唇と舌の筋肉をうまく使えていない子供が増えたからです。正しい口元は上下の唇がしっかりとくっついていて、舌は上顎にぴったりとくっついていることです。舌で上顎を押すことにより歯槽骨の発達が促され歯が並ぶスペースが確保されます。下顎は上顎からやや遅れて成長が進み上顎に合った大きさになります。

では唇と舌をうまく使えていないとどうなるのでしょうか。まず舌が上顎にくっついていないということは口の中の中間にあるか、さらにひどくなると下顎の内側にあるという状態になります。中間にあると上顎も下顎も小さいままになってしまいます。下顎の内側にあると下顎が過剰に成長し反対咬合といっていわゆる受け口になります。さらに唇が開いて力が抜けていれば前歯が前方に傾斜してしまいます。そのまま成長が続くとなすびのような骨格の顔になってしまします。

このような口の周りの筋肉をうまく使えなくなった子供たちが増えた原因は食生活の変化だと言われています。最近では食卓が座卓ではなくテーブルという家庭が多くなっています。大人にはいいのですが子供には高く、椅子に座ると足が床に着きません。すると背筋が伸びず背中が丸くなります。この姿勢は空気の通り道が狭くなり鼻で呼吸がしにくくなります。その結果口で息をすることになり口が開き舌が下に落ちます。
もう一つは給食で牛乳が出始めたことをきっかけに食事中に水を出す家庭が増えたことです。食事をしながら水を飲むと流し込み食べをするようになり咬む回数が減少します。すると歯槽骨への刺激が減り発達も進みません。それだけ出なく唾液の量も減少し消化が不十分になります。

どのような環境で食事をするのが顎の発達にいいのでしょうか。
そこで登場するのが磯野家の食卓です。三世代の家族が囲むテーブルは座卓でみんな正座で背中の丸まっている人はいません。そして注目は食卓に水やお茶がないことです。いくつ食卓のシーンを見てもやはり水もお茶もないので意図的にやっていることは間違いないと思います。今は解散してしまいましたがSMAPが磯野家でビストロSMAPをやったことがあります。このときはSMAPが食事の準備をしたので食卓に水の入ったグラスが出ました。ただよく見ると子供の前にはグラスはありませんでした。成長期の子供には配慮したと思われるかなりの徹底ぶりです。このようなことから歯科界では理想の食卓として密かに注目されているのです。

みなさんも磯野家までとはいかないかもしれませんが自分の家の食卓の環境を見直してみてはいかがでしょうか。

実は磯野家の食卓で水が出たことがあるのです。それはメニューがカレーのときです。時代設定がよくわからなくなっていますが原作のときと変わっていないなら現在のような甘口などなく辛かったと予想されます。そんな辛いものを水なしで子供に食べさせるのは虐待になる可能性があるからだともいわれています。何気ない食卓のシーンですがかなり考えられているのです。