Blue10のブログ

歯医者の豆知識を紹介します。

唾液はどのような働きをしているのか?

口の中を潤わせている唾液ですがどのような役割を果たしているのでしょうか。
唾液は1日に約1.5L作られておりその成分は99%以上が水分となっています。
その働きはを簡単に書いてみます。

1.自浄作用-唾液の流れによって汚れが洗い流されて口の中をきれいにしてくれています。唾液が出なくなりこの働きが失われると汚れが停滞し、むし歯や歯周病になりやすくなります。

2.抗菌作用-唾液の中には抗菌物質が含まれており口の中の細菌が増えるのを抑えてくれています。唾液が出なくなると口の中の菌が異常に増えたり外から入ってきた最近と戦うことができず体に悪影響を及ぼします。

3.緩衝作用-口の中はpH7.4程度の弱アルカリ性に保たれています。酸性、アルカリ性に傾いても唾液の力で弱アルカリ性に 戻されます。唾液が出なくなるとこの緩衝作用がなくなり傾いたpHを戻すことができなくなります。酸性状態が続くと歯は溶けてしまいます。

4.再石灰化作用-唾液の中には歯の再生に必要な成分が含まれており初期のむし歯で溶けてしまったところを修復してくれます。唾液が出なくなるとこの修復が行われず初期のむし歯が進行し大きなむし歯になってしまいます。

5.粘膜保護作用-唾液の中には粘り気のある物質が含まれておりこれが口の中の粘膜を保護して傷がつかないようにしていま す。唾液が出なくなると食べたもので傷ができやすくなってしまします。

6.粘膜修復作用-唾液の中には傷を修復する物質が含まれておりものが当たったりして傷ができても修復してくれます。唾液が 出なくなるとできた傷の治りが悪くなってしまいます。

7.消化作用-唾液の中にはアミラーゼという酵素が含まれておりでんぷんを分解する働きをしています。唾液が出なくなるとこの 働きがなくなり消化が不十分にな ってしまいます。

8.溶解作用-唾液は味を感じる成分を溶かして味蕾(みらい)という味を感じる器官に届ける働きをしています。唾液が出なくなる と味蕾へ味を感じる成分が行き届かなくなり味覚が鈍くなってしまします。

9.凝集作用-唾液には口の中にいれて噛み砕いたものを塊にして飲み込みやすいようにする働きがあります。唾液が出なくなる と噛み砕いたものが塊にならず噛みにくく、飲み込みにくくなってしまいます。

以上のように唾液にはたくさんの重要な働きがあります。そのため唾液が出なくなると口の中だけでなく体全体のさまざまなトラブルが出てきてしまいます。唾液を作る唾液腺という器官は予備力があり加齢により唾液の分泌が減っても刺激してあげれば十分な分泌量を確保できると言われています。舌の体操や唾液腺のマッサージをすることが勧められています。ただ唾液腺が機能しなくなってしまう病気で唾液が出なくなった場合は刺激しても唾液は分泌されません。その疑いがあるときは専門機関に紹介します。そこで精密な検査をした上で対処法を教えてくれると思います。

冒頭で書いたように唾液は1日で約1.5L作られています。つまり1.5Lの唾液を毎日飲み込んでいるといことです。ここで問題になるのは口の中が汚れていると唾液と一緒にたくさんの菌を飲み込むことになります。糖尿病の記事で書きましたが口の中の菌が腸に入るとほかの病気を悪化させることがあります。また高齢者ではこの唾液と一緒に飲み込んだ菌が原因で肺炎を起こすことがあります。これを予防するには飲み込む唾液をきれいにしておく必要があります。つまり唾液の力に頼りすぎず日頃の歯ブラシをしっかりやって口の中をきれいにしておくのが大切だということです。